7.交流会後半戦

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7.交流会後半戦

 昼食時間に交流を深めていたこともあってか、交流会後半での「目安箱の運営の仕方」のついての話し合いはスムーズにいき、僕らの班では月ごとのテーマを決め、それについて意見を募る、という案についてプレゼンすることになった。やはり他校の人との話し合いは新鮮で、アイデアがどんどん浮かんできて、結果、僕の出した案が採用された。ここで1番問題になるのは「誰が発表するか」ということなのだが……。 「ここは私が行きましょう」 と深畝は申し出てくれる。こういうのはいくら生徒会の人間だとはいえども決まりにくいので、ありがたい。 「あと、できれば発案者である木崎さんにも発表していただきたいのですが、いかがでしょうか?」 と深畝は加えて提案をしてくる。元よりそのつもりだったので「大丈夫です、僕もやりますよ」と明るく答える。残りの2人にはスライドを作ってもらい、僕らは原稿の作成に入った。 「さすが天陽の会長さんですね、原稿作りに迷いがない。よく前で話されるんですか?」 と横に座る深畝が紙に台詞を書く僕に言う。 「いや、貴方ほどではないと思いますよ。僕は保護者の前に出て話すことなんて滅多にないですし。それは褒めすぎですよ」  そうだ、せっかく2人で話せてるんだし、あの匂いのことを聞いてみようと、僕は思い立つ。 「ところで、あの、深畝さんは、香水、とかってしていますか? 先程からそちらのあたりからいい匂いがするので……」 と、僕が尋ねると「やっぱり──!」と深畝は独り言を言い、それからニコッと微笑んで 「呼び捨てでいいですよ。それから、そのことについては詳しくお話ししたいので、会が終わってからお時間宜しいですか?」 と僕に尋ねた。僕は、込み入る事情でもあるのかと少し疑問に感じつつも「いいですよ」と答えたのだった。
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