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そうこう話しているうちに5分ほど経っただろうか、校舎の方から1人が慌てた様子で出てきた。
「お待たせしてすみませーん!」
と走りながら声が飛んでくる。
「はぁ、はぁっ、すみません! もうちょっと遅いかと思っていたものでっ。お待たせしましたよねっ? すみません!」
息を切らしながらさっきも叫んでいた少年が言う。
「いえいえ。 今ちょうど校舎の話で盛り上がっていましたし、いいタイミングです!」
そう僕が言うと、少年はほっとしたように微笑む。
「そうですか! それならよかったです。では早速ですが校舎の方へ案内させていただきます! 」
「「「「「お願いします!」」」」」
僕らは彼の後に続き、校舎へと向かったのだ。
「──で、こちらが図書館。設立当初から多くの本が寄贈されているのも九陽の特長です。また、電子書籍も整備されていて、生徒はいつでもどこでもここの資料を閲覧できるようになっているんですよ。で、──反対側のこの教室が今回の会場です! どうぞお入りください!」
校舎を少し案内してもらいながら、会場の教室までたどり着いた。校舎は全体的にα臭くて、やはりこれは名門ならではなのかな、と感じる。一方で、うちの生徒会の面々はちょっと緊張気味だった。校舎に入ってから誰も声を発しない。いつも賑やかなのが売りだと思っていたが、こんなに黙りこくっているのがちょっと面白い。よし、ここで皆の緊張をほぐすのも会長の仕事だ。
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