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婚約から5分で破棄
「君と婚約破棄する。この発情聖女め」
今夜は王太子殿下との婚約を発表する特別なパーティだった。
待って待って。私、5分くらいしか婚約してなくない?
混乱する私は何も言えない。他の人も何も言えないのか、ホールはしんと静まりかえっている。ぽん…とうっかり音を立てたらしいピアノの音さえ、天井に反響して大きく響き渡る。
玉座から一段下がった席で、青筋を立てた王太子殿下が、切り揃えられた金髪をばさり、とかきあげて私を指さした。
「私は聞いていなかったぞ。聖女という存在が周りの人間たちを催淫する能力があるなどと!!」
「え、ええと……」
「魔物討伐で屈強な騎士団の男たちと一緒に前線で聖女としての力を振るい続け、それで周りが催さないわけなかろう。そしてそこで、間違いがない訳がないだろう!!!!」
「あー……」
王太子殿下が言ってるのは、半分アタリで、半分違っている。
「確かに殿下。聖女のもつ超回復能力は、生物の生存本能に強く作用し自己治癒力を高めて癒す異能です。その結果確かに、代償と言いますか、付加価値でその、性的に昂ることはあると言われています」
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