婚約から5分で破棄

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「認めたな! 非処女の癖して私の妃になろうとするなんて言語道断! 婚約破棄だ!」 「お待ちください。私は騎士団の皆様にしっかりと守られておりました。彼らがそのような過ちを許すはずがありません」 「うるさい! 私はわかる、その声は明らかに男を知った声だ! 汚らわしい!」  ざわざわと場がざわつく。  全体的に、王太子殿下の酷い物言いに引いている人が大多数だが、同時に私を庇ってくれる人こそいない。  なぜならばここにいるのは王侯貴族だけで、平民は私だけ。聖女としての功績を認められ、1時間ほど前に公爵家と養子縁組のサインを交わし、承認を得ただけの存在だ。  彼ら彼女らの視線は、 「確かに王太子殿下は無茶苦茶なことを言ってるけど、平民だしなあ……」 「平民に王妃になられるくらいなら、王太子殿下に同意しておいた方がマシだわ」  という空気一色だ。辛い。  そんなパーティで着飾った貴族たちの中、ニタニタと汚い笑みを浮かべている猫背の男と目が合った。  歯も磨いてない唇がニチャァと開いて、私に「ざ・ま・あ・み・ろ」と告げる。  こいつか〜。
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