ゆるキャラは眠れない

２．ゆるキャラ君は熱暑でひんやり？

「おーい、青葉ちゃん。具合どう？」

ショーが終わった主役クラスの武将役が
やってきた。

「ん？お前なんで顔真っ赤にしてんの？
熱あんのか。今日は熱いから後のショーは
オレ達だけでなんとかするぞ」

え！冗談じゃない。
オレは日本一のスタントマンになるんだ。
熱があるのは体調不良のせいではない。
悪いのは夏野海の・・・・

「お前、だらだら汗出てるぞ。
やっぱりやめとけ」

「いえ、大丈夫です。ほら、平熱ですし」

「そーかぁ。まぁ確かに平熱だな。
まぁワシにゃんがいないと今一盛り上がらないから
そうだ！お前観客席でお客と一緒に盛り上げろ。
いいな、最初に舞台上で挨拶したら、一番前の観客席で
盛り上げろ。たまにはオレ達のショーを観て
演技を盗むのも大事だぞ」

「分かりました」

オレはしぶしぶ了承した。

そして、ショーが始まり舞台挨拶をして、
観客席の一番前に座った。
子供達から歓声があがる。
べたべた触ってくる子供達を捌きながら
適当に隣に座らせようとすると、
左隣に夏野海が座ってきた。

「！！！！！！！！！！っ」

声にならない声をあげるオレ。
そして、夏野海はさりげなくオレが被っている
ワシにゃんの左腕に自分の両腕を絡ませてくる。
そして小声で

「ね、私のリップの香り覚えてる？」

と言ってきた。

オレは硬直した。
固まった
彫像と化した。

うわーん、舞台から仲間が見てるぅ
（・∀・）ﾆﾔﾆﾔしてるぅ

誰かこの状況を解く数式を教えてくれぇぇええ

だけどそんな親切なヒーローは現れないのだった。

了