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3.ゆるキャラは固まります
「あ・お・ば・くん?
あの彼女とはどういう関係」
地元の観光地、鷲野城で
鷲野城の歴史で名の知れた『鷲野城組』が
悪の忍者と戦うショーをする仲間たちが
オレ、桜木青葉に(・∀・)ニヤニヤしながら
問い詰めてくる。
そう、ここはショーの裏方の着替え室。
救いの目を周りに向けるが
全員が面白がって救いの手は差し伸べられそうにない。
「い、いや。どういう関係って
単なるクラスメートですよ」
「えー。単なるクラスメートが
青葉君の腕に両腕絡ませてくるのぉ」
悪役忍者役のリーダーが腰をくねくねさせながら
わざとらしくおねぇ言葉で問いかける。
「そうだぞぉ。いくら着ぐるみだからって
腕絡ませたりしないぞぉ。
さぁ、はけ。どこまでの関係だっ」
正義の味方のはずの『鷲野城組』のメンバーが
問い詰める。
俺はドアの方を見た。よし、誰もいないな。
おれは頭をかきながらハハハと笑い、
「いやぁ本当に何もないですよ。
ポケットの中も空だし財布もぺらぺらだし
そういう訳で失礼します!」
そう言うと猛ダッシュでドアの方へ行きドアの外へ出ようとした。
出ようとしたのだが・・・
「う、海」
そう、ドアの外には夏野海がいたのだ。
海はオレににっこり笑って
「遅くなっちゃった。送ってね♪」
と言って俺の手をとった。
後ろで仲間たちがピーピー冷やかす中、
《オレ達》は城から山道を下った。
えーと。オレは海を嫌いな訳じゃない。
だけどだけどいいのかな?
それを見透かすように海が
「ふふふ、嫌いじゃないよ?」
海の言葉にオレは固まってしまったのだった。
了
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