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5.ゆるキャラは焼きもちに手を焼く
「おい、海。寝そべって天井見て楽しいか」
桜木青葉は恋人の夏野海に話しかける。
海は天井を見上げたまま、
「ううん、楽しくない」
そして海は天井に貼ってあるポスターを指さして
「なぜならば青葉君は私よりスタントマンの大スター
蒼月 譲に夢中だからでーす」
そう、青葉はスタントマンになるのが夢だ。
その為には体力作り、筋力作り、演技力も必要とする。
するとどうしても、海との時間は少なくなってしまう。
青葉はその事に対して罪悪感はあった。
だが、
「でも海はそれでもいいって言ったじゃないか」
すると海がくるんと寝そべったまま青葉に向き合った。
「だからってバレンタインまで蒼月譲の
スタントショーを見に行くことなんてないでしょ!
確かに私、青葉君の夢を応援するって言ったけれど
私の方を見てもらう為に足を引っ張るって言ったもんね」
「なんだよそれ。ものすごい矛盾しているじゃないか」
すると海は頬を膨らませて立ち上がり、青葉に詰め寄った。
「そうよ、女の子は矛盾しているの。
私はまだ大人の対応なんかできないの!」
青葉は海の勢いにたじたじとしながら、
どうしようと思って、手近にあったチョコを
ポイっと海の口に入れた。
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