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ぐるぐる回る。
扉の向こうで洗濯物が回る。
夜のコインランドリーで、一週間分溜め込んだ汚れを洗い流す。一人暮らしのしがない一時。
がらんどうな日々だが、この時間だけは特別だ。
なぜなら。
店の扉が開く。いつものあの人が来た。
俺と同じ溜め込んだ洗濯物を突っ込んで、ベンチに並んで座る。他愛ない会話を、ぽろぽろ紡ぎながら。
洗濯が終わり、帰り際に必ず言ってくれる。
『おやすみなさい』
その言葉に、明日も生きようと思える。
次会った時には伝えられたらと、俺の思考もぐるぐる回る。
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