年上の彼2

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年上の彼2

金曜日。部長のマンションの入り口前。ついたのは18時過ぎ。 入っていてもいいと言われたけど入れなかった。 19時までいられず帰ろうと、マンションを背を向けて進んだ。 少しして腕をつかまれた。 「ミイナ!なんで帰るんだ。待っててくれっていっただろ?  手が冷たい。いつからいたんだ。早く部屋に。」 「・・・あの・・・」 部長は私の手を握ってマンションに入っていった。 部長は、リビングのソファーに私を座らせて、キッチンに行くと 「ミイナ。これ飲んで体を温めて」 とマグカップを私に渡した。カップの中にはホットミルクが入っていた。 「ちょっと上着だけおいてくるから」 と部屋に行ってしまった。体が冷えてたからホットミルクが身に染みる。 「温かい・・・」 口から自然と出ていた。 「結構、長くあの辺にいたのか?」 「いえ・・・」 「なんで帰ろうとした?俺と話すの嫌だったか?」 「・・・」 部長は絨毯に座って下から私の顔を覗き込んだ。 「ミイナ。この前はすまなかった。彼氏でもなんでもないやつにあんな事 言われたくないよな。大人げなかったと反省してる。やっとミイナに気持ちを 伝えて距離が近くなったと思ったら、河野くんが割り込んできて・・・ 彼は若いしイケメンだし俺にはないものをたくさん持っているからミイナが 惹かれても仕方ないのだが・・・。でもやっぱり俺はミイナが好きだ。 俺のミイナになって欲しい。俺ではダメだろうか?」 いつも凛としている部長がさみしそうな顔で私を見つめる。 「あの・・・私・・・涼真くんのことはよく行くお店のバーテンさんとしか 思ってなくて・・・あの時は飲みすぎた私も悪くて・・・部長の事は本当に 仕事の部長しか知らなくて・・・ちょっとずつ分かってきて・・・」 私、何を言ってるんだろう・・・考えがまとまらない。 「悪い。追いつめているわけじゃないんだ。俺も急がないっていったしな。 のんびり俺をしってもらおうと思ってたら、河野くんが急に出てきて俺も あせって・・・」 なぜか部長がかわいく思えてしまった。会社ではあんなにかっこいいのに。 「こんな私のどこがいいんですか?」 それを聞いた部長は私の顔を自分に向けた。 「こんななんていうんじゃない。前にもいったけどミイナはいつも一生懸命に頑張ってる。笑顔もかわいい。ミイナの隣に俺を置いてほしいと思ってる。」 「・・・・」 「全然待ててないんだが、俺と恋愛初めてみないか?」 「・・・本当に私でいんですか?」 「だから、俺はミイナがいいんだよ。」 急に涙が溢れてきた。 「なんで泣く?泣くほど嫌なのか?」 私は首を振る。 「じゃあ、いいのか?」 私は小さく頷く。この人ならいいかもと思った。 部長は立ち上がって私を抱きしめた。 「あの、部長・・・」 部長は私から離れて、私を見つめて 「ミイナ。好きだ。」 というと私の唇にそっとキスをした。 「ミイナ。お酒はほどほどにしてくれな。」 と言って私をまた抱きしめた。 「あの・・・会社では秘密にしてもらえませんか?」 「なんでだ?」 「前にもいいましたけど、部長・・・モテるから・・・  いじめられたら嫌です。平和に仕事したいです・・・」 部長はちょっとうんざりした顔をしたが、 「ミイナの事をいいって言ってるやつだっているんだ。俺は  ミイナは俺のものだって言いたいが、ミイナがそういうなら  ・・・仕方がない。でも俺以外の奴とは話すなよ」 「そんなの無理ですよ。」 「だよな・・・」 この人は、見た目はお堅そうなのにこんなに甘い人なんだ・・・。 甘えさせてくれる人と恋愛なんてしたことがない。 だいたいいつも「お前は1人で大丈夫」とか「俺を好きじゃないだろ?」 って言ってお別れされちゃって・・・直近の恋愛も仕事が忙しかったり 自分の時間を大事にしてて・・Hもあんまりしなかったら終わりになちゃった てたな・・Hもいい思い出ない。たくさんの人としたことがあるわけじゃない けど、付き合った人にはいろいろ言われた「不感症」とか「濡れない」とか ・・・。 部長とのキスはふあって不思議な感じがしたなあ。涼真くんにキスマーク つけられてたけど記憶はないし・・・。 「ミイナどうした?」 「なんでも・・・ないです。」 「飯食ったか?」 「・・・まだです。」 「なんか食いにいくか?てか食いに行こう!これ以上一緒にいたら  いろいろ我慢できない」 ・・・いろいろ・・・・あ・・・そういうことか・・・ 「・・・」 「あーーごめん。聞かなかったことに・・・。カッコ悪いな。」 「っぷ。部長・・かわいいですね。」 「かわいいとか言うな!その前にずっと我慢してたが、俺は今は部長では ない!」 この人は甘くてちょっと面倒くさいなあ。 「要さんですね。」 名前を呼ぶと、部長の顔が緩む。こんな顔を会社の女子がみたらみんな キュンキュンだろうなあ。 「何食べたい?嫌いなものはあるか?」 「嫌いなものはないです。」 「女の子の好きそうな店はよくわからん。あのバーでもいくか?」 あれから行っていない。 「・・・」 「河野くんがいるから嫌か?」 「・・・大丈夫ですよ。行かないのも変だし・・・。行きます」 「何かあったら俺が守るから」 と部長は私の手を握り街並みを歩いていった。 【by要】 ミイナが付き合ってくれると言ってくれた。俺は幸せだ。 嬉しすぎてキスをして、抱きしめてしまった。 会社でオープンにできないのは残念だが、ミイナが俺と一緒にいてくれる から我慢しよう。 ミイナがかわいすぎてこれ以上一緒に部屋にいたら押し倒してしまいそうなので外に出かけることにした。 おしゃれな店なんて知らない。出会ったバーに行くことを提案したが ミイナは微妙な表情をした。 河野くんがいるからか・・・俺としてはフラグを立てたいから一緒に 行きたいところだが、ミイナが嫌なら無理強いはしてはいけない。 でもミイナは行くといってくれた。 何かあったら俺がミイナを守る。
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