32人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうなの。
アタシ、いいフォロワーさんに恵まれてるみたいで、皆、めちゃくちゃ嬉しくなるコメントとか書いてくれんのね」
「ももちゃんが羨ましいー」
猫乃みかんはマスカラで黒くなった目を瞬かせると、唇を尖らせた。
「アタシ、今年で25だから、この先もキャバでやっていくには先が見えてるしさ。
ももちゃん、まだ21でしょ?
ホント、若くてそんな才能があるとか、羨ましすぎるよ」
「そんな事ないよぉー。
アタシはただ、運がいいだけだよー」
「運がいいだけで、そんな可愛くならないし、動画のフォロワーが2万とかいかないってー」
猫乃みかんはケラケラと笑うと、手に持っていた缶チューハイを一息に飲み干した。
葵ももは、この日以降も毎週ライブ動画を配信し続け、そして「年頃の女の子の明け透けの日常」は世間の共感を呼んだらしく、動画のフォロワー数はさらにその数字を増していった。
特に「朝までみんなで変顔選手権!」と「みかんちゃんと吉野家で夜食♪」のライブ動画は、TwitterやLINEといったSNSでも拡散され、いつしか葵ももはフォロワー数50万を超えるインフルエンサーとなっていた。
「さて、それじゃお別れの時間が来たので、ももはおやすみしたいと思います。
皆は、お仕事と勉強頑張ってね。
おやすミンミンー」
両手を振り、愛嬌いっぱいにシメの言葉を述べると、ライブ動画の視聴者達は一斉に「おやすみ、ももちゃん!」「おやすミンミン!」といった言葉を書き連ねていった。
最初のコメントを投稿しよう!