【ショート・ショート】おやすミンミン

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「そうなの。 アタシ、いいフォロワーさんに恵まれてるみたいで、皆、めちゃくちゃ嬉しくなるコメントとか書いてくれんのね」 「ももちゃんが羨ましいー」 猫乃みかんはマスカラで黒くなった目を(しばたた)かせると、唇を尖らせた。 「アタシ、今年で25だから、この先もキャバでやっていくには先が見えてるしさ。 ももちゃん、まだ21でしょ? ホント、若くてそんな才能があるとか、羨ましすぎるよ」 「そんな事ないよぉー。 アタシはただ、運がいいだけだよー」 「運がいいだけで、そんな可愛くならないし、動画のフォロワーが2万とかいかないってー」 猫乃みかんはケラケラと笑うと、手に持っていた缶チューハイを一息に飲み干した。 葵ももは、この日以降も毎週ライブ動画を配信し続け、そして「年頃の女の子の明け透けの日常」は世間の共感を呼んだらしく、動画のフォロワー数はさらにその数字を増していった。 特に「朝までみんなで変顔選手権!」と「みかんちゃんと吉野家で夜食♪」のライブ動画は、TwitterやLINEといったSNSでも拡散され、いつしか葵ももはフォロワー数50万を超えるインフルエンサーとなっていた。 「さて、それじゃお別れの時間が来たので、ももはおやすみしたいと思います。 皆は、お仕事と勉強頑張ってね。 おやすミンミンー」 両手を振り、愛嬌いっぱいにシメの言葉を述べると、ライブ動画の視聴者達は一斉に「おやすみ、ももちゃん!」「おやすミンミン!」といった言葉を書き連ねていった。
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