#7

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#7

 ぴちゃん、ぴちゃん、ぴちゃん――――  しずくの落ちる音が、バスルームに響き渡る。室内は湯気でけぶり、生ぬるい空気が赤川を包み込んでいた。 「は、あぁ、ん、んんっ、……――」  揺めきそうになる赤川の尻を、ぴしゃん、と青葉が打ち据えた。「あぐっ!」と赤川はうめき、尻を跳ね上げた。打たれた尻の痺れが、甘いだるさを伴って広がっていく。 「リアルでも堪え性がないね、先生。もう少しじっとしていられないの?」 「ご、めんなさい……」  絞り出した声が、かすかに震えている。それは恐怖ではなく、悦びの震えだった。  赤川は浴槽の縁に頭を伏せ、尻を高く突き出す格好で青葉に後孔を抉られていた。  ローションをたっぷりと垂らされた後ろは、青葉の愛撫によってすっかり綻んでいた。ぐちぐちと出入りする指を、意地汚く食い締めている。中を擦られるたびに肉壁がわなないて、下半身が蕩けるようだった。  赤川が全裸に剥かれたの対して、青葉は腕まくりをしただけで着衣を身につけたままだ。この二人の差が、赤川をいっそう惨めな気持ちにさせた。 「すごい、もう指三本飲み込んじゃったよ」  じゅぶじゅぶとわざと音を立て、青葉は指を抜き差しする。肉輪はしわがなくなるくらいいっぱいに広がって、嬉しそうにひくついていた。 「これで初めてなんて、嘘だろ?」 「ほん、とです……」  他人にそんなところを探られるなんて、生まれて初めてだ。こんな格好で、まじまじと卑しい孔を見られて、羞恥で燃え上がりそうだった。 「初めてでこんなに早く柔らかくならないだろ。なあ、何で?」 「それは……」 「言って。言わないと、やめるよ」  ずるっ、と指を引き抜かれ、「あっ」と赤川ははしたない声をこぼした。彼は焦らすように、入り口の縁をなぞっている。もどかしい快感しか与えられず、もじもじと腰が揺らめいた。辛い。こんなの生殺しだ。 「お、おもちゃで……」 「おもちゃ?」 「ディ、ディルドで、……自分で、いじってました。……我慢、できなくて」  真っ赤な顔で告白すると、「ふはっ!」と青葉は吹き出した。最悪だ――赤川は耳まで朱色に染めて、顔を伏せた。  いつからか、赤川は満たされない欲求を我慢できず、自ら後ろを慰めるようになっていた。家のクローゼットには、卑猥な形の性玩具が隠してある。このことは一生秘密にしておきたかったのに、恥ずかしすぎて破裂しそうだ。 「教師がどうとか言っておいて、マジの変態じゃん」 「う、うぅ……」 「いいよ、俺があんたの夢、叶えてあげる」  彼はそう言うなり、指を引き抜いた。代わりに、硬いものが差し込まれ、とろっとした液体が入り込んできた。赤川は、思わず瞠目した。 「あ、何……!」 「大人しくしなよ、ただのローションだから」  どうやら、ローションのミニボトルを直接差し込まれて、中身を注がれているらしい。ぬるい液体が中を満たす感触に、ぞわぞわと背筋が震え上がった。  にゅぷ、とボトルを引き抜かれると、つつっと飲みきれなかったローションが内ももにまで垂れてきた。赤川は内股になって、必死で後ろを締めた。少しでも力を抜くと、漏れてしまう。 「このまま部屋まで行ける?」 「む、むり……」 「出来ないの? じゃあ、栓してあげる」  今度は硬く丸みを帯びた物が、ぐっとすぼまりに押し込まれる。彼が用意したアナルプラグだ。おかげで漏らす心配はないが、すさまじい圧迫感だった。異物を咥えこまされた肉襞が、じんと痺れていた。  赤川はそのまま手を引かれ、バスルームを出た。後ろが気になって、よろよろとした歩き方になってしまう。その様子を眺める青葉は、心底おかしそうに笑った。  青葉は膝をつくように命じた。絨毯に両手をつき、犬のように彼を見上げる。 「まずはご挨拶して」  彼はかちゃかちゃとベルトを外し、ボクサーショーツをずらした。ぶるん、と彼の雄が目の間に飛び出した。  初めて現実で目にした彼は、雄々しく、凶暴な形をしていた。太い幹に葉脈のような血管が浮き上がり、剥き上がった亀頭は赤黒く、先端に透明な蜜をまとわせている。その生々しい存在感に、赤川はごくりと喉を鳴らした。 (ああ、本当の彼だ……)  現実で彼の怒張を目の前にして、赤川は奇妙な感慨に包まれていた。ずっと祈りを重ねていた神が、突然顕現したような気分だ。それこそ、今のこの瞬間が夢なのではないか――そんな気さえしてくる。 「キスして、先生」  ずし、と彼の勃起が顔に押しつけらる。むせかえるような雄の匂いに、じわっと赤川自身の屹立が先走りを滲ませた。先端はすでによだれを垂らし、絨毯に濃い染みを作っていた。  赤川は怒張と睾丸の境目に唇を寄せ、恐る恐る舌を伸ばした。鼻筋と閉じたまぶたに、裏筋のぬくもりを感じる。  懸命に舌と唇を使って、彼を愛撫した。ちゅっちゅっと音を立てて吸い付き、唾液に濡れた舌を竿に絡ませた。彼に奉仕できていること自体に、赤川はうっとりと夢心地になった。 「しゃぶって」  青葉は赤川の顎を上げさせると、無造作に屹立を押し込んだ。一気に喉奥まで押し入られ、思わずえずきそうになる。 「あ、ぐううぅ……」 「ほら、奥まで入れられるの、好きだろ?」  赤川は懸命に口を開いたまま、こくこくと頷いた。そのまま緩やかに顔を前後させ、裏筋や先端に舌を絡めた。溢れた唾液が顎を伝い、胸にまで垂れてくる。  現実でのフェラチオは初めてなのに、彼は容赦なかった。先端で頬肉を押し上げ、上顎の裏側を擦り、喉奥を容赦なく突き込んでくる。彼が喉の肉で先端を締められるのが好きなのは分かっているので、吐き出しそうになるのを堪えながら喉を震わせた。 「ぬぐ、んんっ、……えぐぅ、」  あまりの息苦しさに、ぽろぽろと涙がこぼれてくる。辛い――でも、気持ちいい。赤川の屹立はぴくぴくと震えて悦びを示し、くなくなとプラグを咥えた尻が揺れる。  気持ちいいのは、彼も同じだ。口の中の怒張はますます硬さを増し、じゅわっとしょっぱい先走りが喉を潤した。彼も悦んでくれている。自分の、この卑しい口で――それが、何よりも嬉しい。 「先生、こっち向いて」  呼ばれて、視線を上にあげた。涙で滲んだ視界に、うっすらと笑ったり青葉の顔が映る。額は薄く汗を滲ませ、ほのかに上気していた。彼も興奮しているのだ。 「かわいい、俺の先生ーー俺のもの」  彼はうっとりと言って、赤川の頬を撫でた。
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