43人が本棚に入れています
本棚に追加
#7
ぴちゃん、ぴちゃん、ぴちゃん――――
しずくの落ちる音が、バスルームに響き渡る。室内は湯気でけぶり、生ぬるい空気が赤川を包み込んでいた。
「は、あぁ、ん、んんっ、……――」
揺めきそうになる赤川の尻を、ぴしゃん、と青葉が打ち据えた。「あぐっ!」と赤川はうめき、尻を跳ね上げた。打たれた尻の痺れが、甘いだるさを伴って広がっていく。
「リアルでも堪え性がないね、先生。もう少しじっとしていられないの?」
「ご、めんなさい……」
絞り出した声が、かすかに震えている。それは恐怖ではなく、悦びの震えだった。
赤川は浴槽の縁に頭を伏せ、尻を高く突き出す格好で青葉に後孔を抉られていた。
ローションをたっぷりと垂らされた後ろは、青葉の愛撫によってすっかり綻んでいた。ぐちぐちと出入りする指を、意地汚く食い締めている。中を擦られるたびに肉壁がわなないて、下半身が蕩けるようだった。
赤川が全裸に剥かれたの対して、青葉は腕まくりをしただけで着衣を身につけたままだ。この二人の差が、赤川をいっそう惨めな気持ちにさせた。
「すごい、もう指三本飲み込んじゃったよ」
じゅぶじゅぶとわざと音を立て、青葉は指を抜き差しする。肉輪はしわがなくなるくらいいっぱいに広がって、嬉しそうにひくついていた。
「これで初めてなんて、嘘だろ?」
「ほん、とです……」
他人にそんなところを探られるなんて、生まれて初めてだ。こんな格好で、まじまじと卑しい孔を見られて、羞恥で燃え上がりそうだった。
「初めてでこんなに早く柔らかくならないだろ。なあ、何で?」
「それは……」
「言って。言わないと、やめるよ」
ずるっ、と指を引き抜かれ、「あっ」と赤川ははしたない声をこぼした。彼は焦らすように、入り口の縁をなぞっている。もどかしい快感しか与えられず、もじもじと腰が揺らめいた。辛い。こんなの生殺しだ。
「お、おもちゃで……」
「おもちゃ?」
「ディ、ディルドで、……自分で、いじってました。……我慢、できなくて」
真っ赤な顔で告白すると、「ふはっ!」と青葉は吹き出した。最悪だ――赤川は耳まで朱色に染めて、顔を伏せた。
いつからか、赤川は満たされない欲求を我慢できず、自ら後ろを慰めるようになっていた。家のクローゼットには、卑猥な形の性玩具が隠してある。このことは一生秘密にしておきたかったのに、恥ずかしすぎて破裂しそうだ。
「教師がどうとか言っておいて、マジの変態じゃん」
「う、うぅ……」
「いいよ、俺があんたの夢、叶えてあげる」
彼はそう言うなり、指を引き抜いた。代わりに、硬いものが差し込まれ、とろっとした液体が入り込んできた。赤川は、思わず瞠目した。
「あ、何……!」
「大人しくしなよ、ただのローションだから」
どうやら、ローションのミニボトルを直接差し込まれて、中身を注がれているらしい。ぬるい液体が中を満たす感触に、ぞわぞわと背筋が震え上がった。
にゅぷ、とボトルを引き抜かれると、つつっと飲みきれなかったローションが内ももにまで垂れてきた。赤川は内股になって、必死で後ろを締めた。少しでも力を抜くと、漏れてしまう。
「このまま部屋まで行ける?」
「む、むり……」
「出来ないの? じゃあ、栓してあげる」
今度は硬く丸みを帯びた物が、ぐっとすぼまりに押し込まれる。彼が用意したアナルプラグだ。おかげで漏らす心配はないが、すさまじい圧迫感だった。異物を咥えこまされた肉襞が、じんと痺れていた。
赤川はそのまま手を引かれ、バスルームを出た。後ろが気になって、よろよろとした歩き方になってしまう。その様子を眺める青葉は、心底おかしそうに笑った。
青葉は膝をつくように命じた。絨毯に両手をつき、犬のように彼を見上げる。
「まずはご挨拶して」
彼はかちゃかちゃとベルトを外し、ボクサーショーツをずらした。ぶるん、と彼の雄が目の間に飛び出した。
初めて現実で目にした彼は、雄々しく、凶暴な形をしていた。太い幹に葉脈のような血管が浮き上がり、剥き上がった亀頭は赤黒く、先端に透明な蜜をまとわせている。その生々しい存在感に、赤川はごくりと喉を鳴らした。
(ああ、本当の彼だ……)
現実で彼の怒張を目の前にして、赤川は奇妙な感慨に包まれていた。ずっと祈りを重ねていた神が、突然顕現したような気分だ。それこそ、今のこの瞬間が夢なのではないか――そんな気さえしてくる。
「キスして、先生」
ずし、と彼の勃起が顔に押しつけらる。むせかえるような雄の匂いに、じわっと赤川自身の屹立が先走りを滲ませた。先端はすでによだれを垂らし、絨毯に濃い染みを作っていた。
赤川は怒張と睾丸の境目に唇を寄せ、恐る恐る舌を伸ばした。鼻筋と閉じたまぶたに、裏筋のぬくもりを感じる。
懸命に舌と唇を使って、彼を愛撫した。ちゅっちゅっと音を立てて吸い付き、唾液に濡れた舌を竿に絡ませた。彼に奉仕できていること自体に、赤川はうっとりと夢心地になった。
「しゃぶって」
青葉は赤川の顎を上げさせると、無造作に屹立を押し込んだ。一気に喉奥まで押し入られ、思わずえずきそうになる。
「あ、ぐううぅ……」
「ほら、奥まで入れられるの、好きだろ?」
赤川は懸命に口を開いたまま、こくこくと頷いた。そのまま緩やかに顔を前後させ、裏筋や先端に舌を絡めた。溢れた唾液が顎を伝い、胸にまで垂れてくる。
現実でのフェラチオは初めてなのに、彼は容赦なかった。先端で頬肉を押し上げ、上顎の裏側を擦り、喉奥を容赦なく突き込んでくる。彼が喉の肉で先端を締められるのが好きなのは分かっているので、吐き出しそうになるのを堪えながら喉を震わせた。
「ぬぐ、んんっ、……えぐぅ、」
あまりの息苦しさに、ぽろぽろと涙がこぼれてくる。辛い――でも、気持ちいい。赤川の屹立はぴくぴくと震えて悦びを示し、くなくなとプラグを咥えた尻が揺れる。
気持ちいいのは、彼も同じだ。口の中の怒張はますます硬さを増し、じゅわっとしょっぱい先走りが喉を潤した。彼も悦んでくれている。自分の、この卑しい口で――それが、何よりも嬉しい。
「先生、こっち向いて」
呼ばれて、視線を上にあげた。涙で滲んだ視界に、うっすらと笑ったり青葉の顔が映る。額は薄く汗を滲ませ、ほのかに上気していた。彼も興奮しているのだ。
「かわいい、俺の先生ーー俺のもの」
彼はうっとりと言って、赤川の頬を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!