三話 黒豹の恋煩い

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三話 黒豹の恋煩い

〜 レイバン 視点 〜 助けた雄が、発情していたΩだと言うことは後々気付いた。 随分甘い匂いがする、血の匂いか?なんてぼんやりと思っていたけれど、次第に濃くなることに実感した時には理性が削ぎ落とされていた。 写真で婚約を求めてきたΩは、雄でも女のように華奢であり、細身だったから記憶と違ってるんだと思う。 名前も知らないこの男は、そんな華奢とは掛け離れた程に筋肉質で厚みのある身体をしている。 只、腰は細く…尻は丸みを帯びてると思うが…その辺りは雄らしいと思う。 Ωを毛嫌いしていたが、交尾をしてみれば今はコイツとの子が欲しくて堪らない…。 それがαの本能かも知れないが、ヤケクソで受け入れてるこのΩが首筋から耳まで真っ赤に染めながら、突く度に甘く喘ぐ声に聴覚は犯されたような感覚がする。 「 あっ!ひっ、っ、ぁっ!? 」 「( それに何だろうか…凄く、胎内が…気持ちいい…… )」 キュッと締め付けてくる肉壁が腰へと重みが走る程、気持ちよく興奮する。 その肉壁を開くように最奥の壁を亀頭で突き上げれば、男はいい声で喘ぐから、それもまた一つの薬のよう。 夢中で揺すっていれば、男は敷布団を握り締め腰を反り上げ、それに合わせるよう中へと込み上げるものを止める事なく、吐き出しぶち撒けた。 「 っ〜〜!あぁッ…! 」 「 はっ……ん… 」 此れが精子…Ω達が求めていた種付けだろうかと本能で悟り、腰を止めて奥へと注ぎ込むように男の尻を持ち上げていれば、彼は片手で呼吸しながら片手を自らの腹下へと触れ、撫でるような仕草をする。 「 はぁ…奥に…入って…くる… 」 「 なら、もっと入れようか…? 」 「 っ!?うご、くなっ……!ぁ、んぁ! 」 そんなに欲しいなら、好きなだけ上げようと止めていた腰を動かせば彼は自らの立派な陰茎を握った後、軽く擦りながら受け入れる準備を始めた。 辞めようと思うにも、何故か陰茎が抜けないのだからやめることは出来ず何度も何度も、その胎内を擦り付け、長年出すことの無かった精子を注ぎ込んでいた。 胸糞悪いΩのフェロモンの匂いが、私の匂いで掻き消された時には彼の腹下は膨らみを帯び、喘ぐ声すら掠れていた。 「 …抜けそう 」 「 いっ、ッ〜!! 」 やっと抜けそうだと思い引き抜けば痛がった彼に疑問を思うも、彼は直ぐに力尽きたように布団へと倒れ込んだ。 「 私も…眠くなった…… 」 こんなに動いて体力を消耗したのは初めてだと思う程に、彼の横で横たわって深く眠れば、彼は日が昇る頃には部屋に姿は無かった。 「 …レイ様、布団を洗いましょう 」 「 茜……。私、欲しい番が現れた 」 「 へ?急にどうしたんですか?( 自慰では…無いので? )」 あの男に、いつか会えるか分からないが手に入れたいと思う。 なんせ、暗闇とはいえど私の姿を見て ゙ 綺麗だ ゙と呟いたのだからな…。 それに身体の相性は悪くないと思う。 〜 竜久 視点 〜 抜く瞬間の痛みは、猫科特有の陰茎のトゲだろうなと思ったが其れより起きてからの腹に溜まった精子を掻き出す方だ大変だった。 横で黒豹が爆睡してたからいいが、あんな恥ずかしい後処理はもう二度とゴメンだと思う。 「 いらっしゃいま…… 」 「 その戸棚にあるピルをくれ 」 「 あ、はい。お会計は2080円になります 」 「 カードで 」 薬局が開くと同時に経口避妊薬と水を買えば、早々に外に出て其れを表示数より多く飲み、腕時計へと視線を落とす。 「 まだ十六時間以内だから大丈夫だろうが、不安だから昼にも飲むか…… 」 望まぬ妊娠は子供の為にも避けたい。 「 つーか、頭も身体も痛ぇ…くそ、あの猫…好きなだけヤりやがって 」 もう少し手加減を知らないのかと文句言いたい程に身体はボロボロだ。 此れが竜族で無ければ痕が残るだろうと思うぐらいの深い傷すらあった。 俺は既に傷口は無く、激しい筋肉痛の様な痛みだけで外見部分は問題無いが、もう二度と会いたくないと思うαだった。 好きなだけ犯して、後々の事を考えず中出しして、結局泣き寝入りして余計な出費までするのは受け入れたΩの方なんてあんまりだろ。 普段から発情を抑える薬を買ってるというのに…。 腹が立つから金を貰いたいと思うが、そこまで貧乏ではない為に、その辺りは会わないでいいなら要求はしない。 「 まぁ、骨まで食われなかっただけ…マシか 」 Ωに腹を立てたαが、そのまま頭を食いちぎって腸から食らっていくという話を聞くぐらいαの本能は獰猛だ。 まだ犯されただけマシだと思うしかなく、痛む身体を引き摺って家へ戻る。 「 嗚呼、俺だ。悪いが…今日は休む 」 ゙ はぃ!?副代表…休むのですか!? ゙ 「 そういう事だから、明日まで連絡してくるな。寝る 」 ゙ ちょっ。えっ……! ゙ 失った体力は寝て回復させるに限る。 電話相手の部下は驚いていたが、彼なら上手く言い訳をつけるだろうと信じてる為に、俺は休暇を寝て過ごすことにした。 嫌な程に発情する様な感覚はしない。 一度も身体を重ねた事が無かったこの身体は満足したのだろうか…… 「 いや、してねぇな……ふざけ……! 」 家に戻り、寝室で寝ようとしたが布団の感触がやけに夜の事を思い出させて身体は疼き、自然と陰茎に手が伸び自慰する嵌めになった。 頭に過る黒豹の息遣い、生々しく覚えている突き上げられ擦られる感覚、耳に当たる舌先や擽ったい程の髭とか全て覚えてるせいで、一日中、陰茎が使い物にならないんじゃ無いかと思うほどに自慰に浸るとは思わなかった。 「( はぁ…俺は…あの、αが、欲しいのか…?巫山戯るな…俺は、宝玉を手に入れて、天空に、帰るんだ… )」 その日から俺は、仕事をしながらもあの黒豹を考えてしまい、会社のトイレでも、家に帰っても自慰をし、 ネットで買ったバイブで尻穴を掘る事ばかりをするダサいΩに落ちぶれていた。 それが嫌で、嫌で仕方ない。
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