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「お待たせしました」
突然開いた扉に思わず仰け反った美里を前に、寿は風呂敷に包まれたものをドンッと置いた。
仰け反ったままの美里は、そのまま目線だけを向けると、「これは……?」と警戒した様子を見せた。
「解決策がこの中に入っています」
寿に促され風呂敷を開くと、美里は目を丸くした。
そこにあったのは、札束の山だった。
「な、なんですか、これ」
「お金です」
「見たらわかりますけど……」
「そうですか。では、どうぞ。これで解決ですね」
涼しげな寿に、美里は瞬時に目を吊り上げた。
「受け取れません。こんなもの」
「私たちの仕事は、お悩みを解決することです。足りなければまだありますし、何度でも差し上げます。お幸せに」
さきほどまでとは違う、寿の明らかに挑発的な態度に、美里は声を押し殺して言った。
「赤の他人からお金を頂くほど、落ちぶれていません」
寿は美里の言葉に対して、からかうような笑みを浮かべて言った。
「あなたのパートナーからは、受け取るんですね」
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