ブライダルプランナー 1

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「俺が仮予約まで承ったけど、先輩にバトンタッチしたからキャンセルに気付かなくて……。名前は違うけど絶対、同じ新婦なんだよ」 「よく似ているだけじゃなくて? 美人なの、その新婦」 「……かなり」 「だからじゃない? 化粧うまいと、美人ってどれも同じに見えるじゃん。何でわざわざ同じような顔にするかね、女って」  顔をしかめる溝口に、俺は乾いた笑いを返した。  芸能人の誰かに似せて、メイクや髪型をリクエストされるのはよくあること。こと、結婚式なら尚のことだ。有名人の純白ドレス写真を提示し「こんな感じにして下さいって言われてもね」と花嫁メイク担当がこぼすのをよく聞く。 「ま、気にすんなよ。何か進展あったら教えてよ」 「……お疲れ」  半分近く残ったコーヒーを持て余し、俺は取ったばかりの仮予約を振り返る。 (そっか……あの女、俺の好きな女優に似てるのか)  溝口の言葉で気付いた。  翌日、相田若葉カップルのウエディングプランは正式に申し込まれた。  そして俺は、その担当プランナーになった。
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