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「大橋って、実はけっこう優しいでしょ、」 「は?」  特に甘いものが好きというわけでもないのだろうに、心が持ってくるいちご牛乳に律儀に口をつける優馬の様子は妙に可愛く見える。 「ねぇほんとに、いっかい試してみようよ、」 「いやだ」 「えー、なんで?」 「だから、おれはDomじゃないって、」 「あ。恋人以外とPlayしない主義とか?」 「おまえ人の話聞けよ」 「じゃぁさー、おれと付き合おうよ」 「人の話を聞け、」 「エロいことしてもいいよ?」  心は机に左ひじを付いて小首をかしげ、にっこりと笑ってみせた。  優馬は深くため息をつく。 「いい加減黙れ」 「Command使えばすぐ黙るのに」 「だからおれはDomじゃないっつってんだろ、」  また会話が振り出しに戻る。 優馬は呆れたような、疲れたような顔をして、いちご牛乳を飲み干すとまた机に突っ伏してしまった。
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