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心のものを踏み潰そうとしていた香川の足が離れて、躊躇もなく心の頭を横から蹴りつけた。
強いめまいのような衝撃があって、気がつくと心はその場に倒れ込んでいた。
さすがに加減がうまくて、残念ながら心は意識を飛ばせない。
踏みつけられていたところと、蹴られた頭が、後から追ってくるようにずきずきと痛んだ。
う、と小さく呻いて思わず身を丸める。
「芹沢、脱いでこっち来い、」
香川はそう言うと、視線だけを上げた心を冷たく見下ろした。
心は痛む体を起こしてシャツのボタンに手をかけた。
三日前に殴られたところはもう痛みはないが、まだ薄く痣が残っている。
ベルトを外してスラックスも下着も脱ぎ捨てると、のろのろとベッドの上に上がった。
「香川、おねが……、いっかい、」
――撫でて、褒めて欲しい。
「もうちょい頑張れよ」
呆れたように言われて、ちくんと胸が痛んだ。
もっと頑張らないと褒めてもらえない。
「口でして」
いったいどこまで、いつまで頑張ればいいのか先が見えなくて、心は急に悲しい気持ちになった。
香川の下腹部へ手を伸ばし、カチャリとベルトを外してチャックを下ろすと、その場に両肘をついて四つん這いになった。
舌を這わせているうちにそれは少し頭をもたげはじめる。
「芹沢、口、開けろ、」
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