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中学三年の、夏休みに入る少し前のことだった。
朝の天気予報では、今年いちばんの暑さになるので熱中症に気をつけるようにと忠告していた。
たしかに朝から雲ひとつない快晴で、ギラギラと地面を焼き付ける太陽の光が反射し、息苦しさを感じるほどだった。
正午に近づくにつれて、外気温ますます上がり、学校では体育の授業は室内競技に変更になるなど、屋外の活動が自粛された。
陽夏瀬は二時間目の授業が終わったあたりから具合が悪そうにしていた。
三時間目の授業の途中で保健室に行き、軽い熱中症の症状のようだということで、昼休み前に早退することになった。
その翌日、陽夏瀬は学校を休んだ。
家が近所だった優馬は、学校が終わったあとで様子を見に陽夏瀬の家を訪れた。
陽夏瀬の母親は、おっとりとしていてとても優しい人だ。
そして、両親のいない優馬を昔から可愛がってくれていた。
しかしその日は、少しだけ憔悴した顔で出迎えた。
優馬が陽夏瀬の部屋へ入ると、彼は布団にくるまって横になっていた。
「陽夏瀬、まだ具合悪いの、」
声をかけても、陽夏瀬はぴくりとも動かない。
テーブルのうえに、投げ捨てられるように処方箋の袋が置いてあった。
「陽夏瀬、」
「Subだった、」
と、布団の中から、陽夏瀬のくぐもった声がした。
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