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朝、家を出たときは曇っていたのに、一時間目が始まる頃、空は快晴に変わった。
何だか妙に憂鬱な気分になって、優馬は二時間目の授業からサボることにして、屋上へ上がった。
日向ぼっこさながらに横になっているうちに眠ってしまっていたようだった。
ガヤガヤと人の声が聞こえてくる。
ぼんやりと覚醒していく視界に、機械科の香川たちが入ってくるのが見えた。
香川は去年、いちどだけ優馬に絡んできたことがある。
しかし彼は賢くて、優馬の実力を見定めるとすぐに一定の距離を保つようになった。優馬が建設科ということもあり、互いに不必要な干渉はしない。
懸命な判断だと、優馬も思っている。
建設科と機械科は、入学当初からずっと仲が悪い。
寝転がったまま目を開いた優馬の頭上に、香川が、「よお、」と声をかけた。
「ああ、……」
優馬はもう一度寝直そうとまぶたを閉じかけたが、香川が隣に腰を下ろしたので、不思議に思って首をかしげた。
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