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期待はずれだったかなぁ、と思いながら、心は優馬の前の席のイスを借りて腰を下ろした。
「いい加減、そろそろ諦めろよ、」
優馬は面倒そうにつぶやいて、再び机に頭を伏せると、寝る体勢をとった。
その様子を眺めながら、心はふふっと笑って、
「それもそうだねー、」
と肩をすくめた。
そのときふと、突然教室の入り口付近が騒然となり、一部の生徒が慌ただしく廊下へ駆け出していった。
まるで大きな地震の前に、鳥たちが一斉に飛び立ったような不吉な気配が室内にたちこめた。
何だろう、と思って騒ぎのほうへ視線を向けた心は、驚きに目を見開いた。
そこには機械科の香川がいた。周囲に取り巻きはひとりもいない。
どうやら単独で建設科の教室へ入ってきたらしい。
「えー、やば、」
心は呆れすぎて、笑いながら呟いた。
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