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Glareは富樫のほうが強い。
だが、喧嘩はおそらく香川が強い。
しかしここは建設科の教室で、香川はひとりで乗り込んできていて、富樫の周囲には取り巻きがいる。
香川のほうが分が悪いように見えたが、次の瞬間、低く腰を落とした香川の拳が富樫の懐を捉えた。
関係者以外の生徒がいなくなった教室で、富樫の体が無人の机にぶつかりながら崩れ落ちる。
追い打ちをかけるように香川は富樫の体の上に馬乗りになって、たて続けに拳を入れた。
富樫の取り巻きが香川を止めようと横から邪魔をするが、うまく交わして蹴散らせている。
ほとんど香川が一方的に富樫を殴り続ける展開だった。
周りの人間はもう手出しが出来ない状態だ。
こんなに強かったのか、と、心は思わず感心した。
ちらりと優馬のほうを窺うと、特に興味もなさそうに、まだ半分眠たげなぼんやりとした顔で、喧嘩の成り行きを見ている。
しかし、その直後、
「――Switch、」
Glareを帯びた富樫の命令が、香川に向けられた。
「てめっ、」
バランスを崩した香川の体が、ぐらりと傾いてゆく。
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