3.

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 心は目を見張った。 香川がSwitchであることは知っていたが、Subに切り替わったところは今まで見たことがない。  峰岸の存在はあくまで保険で、香川は普段、相手にCommandを使わせるような隙など作らなかった。 「Down(ダウン(伏せろ))」 富樫はここぞとばかりに、続けて命令する。  香川はそのCommandにすぐには従わなかったが、それでももう、富樫に向かって殴りかかることはできなくなっているようだった。  優勢になった富樫は、にやりと口もとを歪めて立ち上がった。 その眼前で、耐えきれなくなったように、香川が膝をつく。  しかし香川の頭が地に伏せる前に、いつの間にか席を立っていた優馬がふたりの間に割って入り、香川の腕を引き上げた。  そして、 「Switch」  優馬のくっきりとした言葉が富樫のCommandを上書きした。  香川は再びDomに切り替わる。 短時間に急な切り替えが行われたせいか、彼はふらりとよろめいた。 「おい、」  と、優馬がその肩を支えようとすると、香川はその腕を思い切り振り払った。 「離せよっ、」  優馬は肩をすくめて香川から手を離した。 「くそ、」 香川は舌打ちとともにつぶやき、苛々とした様子で眉根に深く皺を寄せている。 「大橋、おまえっ、」  富樫が気に食わなさそうに優馬を睨んだ。 Glareが溢れ出している。 それは、DomからDomに対する挑発だった。
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