3.

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 優馬はその挑発を買って、静かに富樫を睨みつけた。 突然、それまで何も感じなかった優馬から、強烈なGlareが放たれる。 富樫は目を見開き、呆然とした顔をしたまま固まった。  ここでのDomのランクは明らかだった。 優馬がもっとも強いGlareを放って、誰もかなわない。 「喧嘩でCommand使うのは反則だろ」  優馬は静かにそう言ってから、心のほうへ戻ってくる。  心は床に座り込んで動けなくなっていた。 優馬はゆっくりと心の目の前に屈んだ。 その様子を目で追っていた心は、ぼんやりと優馬の顔を見つめた。 「芹沢、悪い。大丈夫か、」  完全に優馬のGlareにあてられていた。 Kneelの体勢のまま震えて立ち上がれない。 優馬は小さくため息をついて、心の体を抱き寄せた。 「怖かったのによく頑張ったな、」  普段の優馬の態度からは想像のつかない優しい手つきで頭を撫ぜられる。 強い幸福感が、心の体内をぶわりとかけ巡った。  無意識に優馬の胸に頭を押し付けて、震える腕で抱きつくと、大きな掌に背中をさすられた。 欲しいものが与えられる喜びが、Sub性の身体を蝕む欲求を満たしてゆく。  優馬は心の体の震えが収まるまで、ずっと背中を撫で続けてくれていた。  その間に機械科一年の峰岸が、騒ぎを聞きつけて香川を迎えにきた。 香川は終始不機嫌そうにしているだけで何も説明をしようとはしなかったが、峰岸は何となく状況を察したようだった。 それから優馬と心のほうを一瞥してから、香川を連れて出て行った。  その後、しばらくすると教師陣が集まってきた。  優馬は喧嘩には参加せず、ただその場を収めただけだったのだが、なぜか十日間の停学処分を受けることになった。
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