4.

4/12
前へ
/77ページ
次へ
 ◆  中学の卒業を一ヶ月後に控えた二月。 その日は珍しく、夕方に雪がちらついた。  陽夏瀬がSubだと分かってから、優馬はそれまでよりも陽夏瀬の周囲を警戒していた。 性分化していなかった頃は、よほどの悪条件にならない限り、陽夏瀬はひとりで逃げるくらいのことは出来ていた。  しかしSub性の特質は厄介で、相手の中に強いGlareを持つDomがいた場合、威嚇されると動けなくなってしまう可能性があった。  ところが、陽夏瀬のピンチは、優馬の想像していなかったところから訪れた。  放課後、ふたりが一緒に帰ろうとしていたところに、クラスメートの男子生徒が声をかけてきた。 彼はいつも優馬に絡んでくるような不良ではなく、バスケットボール部で活躍していた爽やかな少年だった。  陽夏瀬とはクラスでも時々話しているのを見たことがあったし、優馬は何も心配せずに陽夏瀬が彼に着いて行くのを見送った。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加