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中学の卒業を一ヶ月後に控えた二月。
その日は珍しく、夕方に雪がちらついた。
陽夏瀬がSubだと分かってから、優馬はそれまでよりも陽夏瀬の周囲を警戒していた。
性分化していなかった頃は、よほどの悪条件にならない限り、陽夏瀬はひとりで逃げるくらいのことは出来ていた。
しかしSub性の特質は厄介で、相手の中に強いGlareを持つDomがいた場合、威嚇されると動けなくなってしまう可能性があった。
ところが、陽夏瀬のピンチは、優馬の想像していなかったところから訪れた。
放課後、ふたりが一緒に帰ろうとしていたところに、クラスメートの男子生徒が声をかけてきた。
彼はいつも優馬に絡んでくるような不良ではなく、バスケットボール部で活躍していた爽やかな少年だった。
陽夏瀬とはクラスでも時々話しているのを見たことがあったし、優馬は何も心配せずに陽夏瀬が彼に着いて行くのを見送った。
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