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突然の乱入者に、心を取り囲んでいた生徒たちがいっせいに優馬のほうを振り向く。
彼らは優馬を見て一瞬ひるんだようだったが、すぐに数的有利があることを思い出したらしい。
お互いに顔を見合わせると、優馬と対峙する体勢をとった。
金属がコンクリートの地面を擦るからからという渇いた音とともに、鉄パイプを持ったひとりの男が前に出てくる。
二年生の生徒のひとりだったが、相手が誰なのかということなど、もう、どうでもよかった。
武器を持った男が大きく振り上げた隙だらけの腕を、難なく右手で掴み、躊躇なく関節を逆へ捻り上げる。
男は表情を歪ませ、低い呻き声をあげながら、握っていた鉄パイプを取り落した。
優馬は男の体重をものともせずに、捉えた腕をそのままぐんっと引き上げると、周りを取り囲む他の生徒たちへ向かって軽々と投げつけた。
突然飛んできた仲間の体を受け止めきれず、数人の生徒が雪崩れるようにその場に尻をつく。
不意打ちのつもりか、転がっていた鉄パイプを拾い、優馬の背後から殴りかかろうとしてきた生徒の腹に、優馬はすばやく身を捻って回し蹴りを食らわせる。
衝撃で吹っ飛んだその生徒の体は、自重でどしゃりと激しく地面に打ちつけられると、反動で一回跳ねてからごろごろと転がった。
そのまま動かなくなる。
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