5.

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「もう動けないんだもん。大橋、やって、」  と、心が笑いながら答えた。 どうやらとりあえずの応急処置にはなったようで、Dropの状態ではなさそうだった。 「知るか。置いてくぞ、」 「えー、ひどい、」  軽い口調でそう言った心のこめかみから、鮮血が滴り落ちる。 それは顎を伝い、はだけて汚れたワイシャツにぽたぽたと赤い染みを作った。  いつもそうだ。 深刻なら深刻そうな顔をすれば良いのに、なぜか心は笑った。  毎日のように教室へ来て、停学中は家にまで押しかけてきたくせに、最後の最後で、助けを求めない。  優馬は心のすぐ横に胡座をかいて座り、心の足首でひっかかっていた下着とスラックスを引き上げた。 「少し腰ずらして、」 「動けない、」  即答する心に、優馬は呆れつつ、彼の腰を抱き寄せて浮かせた。 「うわ、」  体勢のバランスが悪くなって、心が優馬の首にしがみついてくる。 その間に優馬は心の着衣を整えた。
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