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「ぅ、えっ?」
タイルの上にぺたんと座っていた心は、驚いたように目を丸くして優馬を見上げた。
排水溝に向かって流れていく水に赤い色が混じっている。
優馬はため息をついた。
「辛いなら辛いって言えばいいだろ、」
心はじっと優馬を見上げていたが、あはは、と渇いた笑いをこぼしてうつむいた。
「言わせたかったら、Command使えばいいじゃん、」
心を見ていると、優馬は無性に苛々する。
最初に会った時からそうだった。
「そうかよ、好きにしろ、」
気分が悪くなって、優馬はバタンとわざと音をたててドアを閉めた。
Glareのコントロールには自信がある。
だからいくら苛々したからといってうっかり漏れるということはないが、それでも心の傍で万が一ということがあるとさすがに寝覚めが悪い。
優馬はベッドに横になって目を閉じた。
ひと眠りでもすれば少しは気持ちが落ち着くと思った。
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