6.その後

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 心が目を覚まさないのを確認してから、部屋を出てキッチンへ向かう。 のどが渇いていたので冷蔵庫を開けると、ガラスピッチャーに姉が作り置いている水出しのお茶があった。 麦茶ではなく美容だとか健康だとかに良いお茶なのらしいが、優馬にはよくわからない。 コップに一杯注いで飲み干してから使用したコップを軽く洗ってカゴに伏せる。 それから食器棚を開けて薬箱を取り出した。 なぜか姉は薬箱を食器棚にしまう癖がある。  優馬はミネラルウォーターの未開封のペットボトルと、薬箱を持って部屋に戻った。 心はまだ布団の中で眠ったままだった。  ベッドの傍にあぐらをかいて座り、掛け布団を少しずらすと、仰向けだった心は横向きになって優馬に背中を向ける。 優馬が貸したTシャツ一枚で、下着もつけていない。  背中をめくってみると青痣だらけで、腫れている箇所もある。 優馬は薬箱から冷湿布を取り出して心の背中に貼った。
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