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◇
眠りから覚めると、ずきずきと体が痛んだ。
痛みのせいで逆に意識がはっきりしている。
しんと静まって誰もいない様子の室内に、心は不思議に思いながら体を起こした。
「いっ、つ……」
動いたとたん、乱暴に犯された秘部に鋭い痛みが走る。
ふとんをめくって確認したが、出血は止まっているようで、シーツは汚していなかった。
部屋の中を改めて見渡してみるが、やはり優馬の姿はない。
テーブルの上に薬箱が置いてあって、その横に鎮痛剤の箱が出してある。
ベッドを下りてフローリングに座り込み、ミネラルウォーターのペットボトルを手にとってみる。
蓋はまだいちども開封されていない。
思わず、ふっと笑いが漏れた。
迷惑そうにする割に、放っておくこともできないらしい。
目つきが悪いしそっけないからわかりづらいが、根が優しいのだろう。
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