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そうしているうちに、部屋のドアが開く音がして優馬が戻ってきたようだった。心は顔を隠したまま寝たふりを続けた。
ベッドのほうへ近づいてくる気配がする。
狸寝入りを決め込んでいるとふわりと頭を撫ぜられた。
どくりと心臓が鳴って、体温が上昇する。
優馬の掌は後頭部にできているたんこぶに気づいた様子でそこを避けて、しばらく頭を撫ぜ続けていた。
麻薬のような多幸感に、意識とは関係なく体が弛緩してゆく。
「起きてるだろ、」
声をかけられたが、答えずにいると、優馬の手が離れていってしまう。
「……あ、」
心はそこで枕から顔を上げた。
無表情でじっとこちらを見ていた優馬と目が合う。
「Reward足りてないんじゃねーの、」
見透かしたように言われるとひどく面白くない気分になって、心はふいと視線をそらした。
「いつもしたいしたいってうざいのに、何で今日おとなしいの、」
「別に。今はしたくない、」
適当にそう返した心に、優馬は呆れたようにため息をついた。
「あっそ、」
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