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優馬はちょっと笑いながら、
「何やってんの、」
「うるさい見るな」
心は再び枕に顔を伏せた。
枕のシーツが、瞳から溢れた水を吸い込んでゆく。
こんなことくらいで傷なんてつかない。助けてもらわなくていい。
「体キツいならどうして欲しいか言えばいいだろ、」
「うるさい、」
「おまえ、ほんっと可愛げない、」
「そんなもんあってたまるか」
ぎっ、とベッドマットレスのスプリングが揺れて、優馬がベッドの上に腰を下ろすのが分かった。
思わずびくりと肩が震えて、悔しさと自己嫌悪で頭がおかしそうになる。
Commandを使われたらどうせ抵抗できない。
「芹沢、本当に辛いときは、ちゃんと教えろよ、」
優馬の掌は、心の頭に軽く触れたあと、またすぐに離れていった。
おわり
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