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呆れたように言われて、心は下を向いた。
優馬の言うとおりだった。
建設科や機械科にはDomかDom寄りのNeutralしかいない。
香川という後ろ盾を失って、Subである心が、ふらふらとひとりで入り込んで安全が保証される場所ではなかった。
「立てるか、」
心は震えたままゆるゆると横に首を振った。
Domの命令に無理やり抵抗したせいか、欲求不満のひどいときのように、吐き気と悪寒がする。
優馬はひとつため息をついてから席を立つと、心の横に屈んで後頭部を軽く撫ぜた。
「Stand Up」
耳元にささやかれて、Commandが上書きされる。
ふっと体が軽くなる感じがして、心は優馬の腕につかまりながら立ち上がった。
建設科の生徒は、それ以上心に絡んでくる様子はない。
優馬は床に脱ぎ捨てられた心のブレザーを拾うと、心の手を乱暴につかんで教室を出た。
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