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「やっぱ、会いにくるなってことじゃん……」
優馬にスマートフォンを返しながら、心は不満のために口を尖らせた。
「だから、学校でしないんだから昼休みは会いにくる必要ないだろって言ってんの。連絡してくれれば帰りにおれから迎えに行く、」
「朝からきついときはどうすんの、」
「朝からきついなら休めばいいだろ、昼におれのとこ来たってどうにもしてやれない」
「何もしてくれなくても、……」
そこまで言いかけて、心はまた口を閉ざした。
優馬がため息をついたのがわかった。
面倒事が嫌いだから、本当はこういう問答も煩わしいのだろう。
「いちいちCommand使わせるな。途中まで言うくらいなら最後まで言えよ、」
優馬の口調が苛々としたものに変わる。
それでも心は、もういい、と小さくつぶやき、上履きを脱ぎ捨ててベッドに寝転がると優馬に背中を向けた。
優馬はしばらくその場で心を見下ろしていたようだったが、やがて、
「今日はおれバイトだけど、辛かったら連絡入れておけよ、」
心は後ろを向いたまま少しうなずいた。
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