ミッション13 召喚の儀を成功させよ1 

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ミッション13 召喚の儀を成功させよ1 

「あっつ~」  今日はパダの定休日だ。誰も来ないのでお店のお座敷で大の字になってゴロゴロしていた。床が冷たくて気持ちいい。 「最近ジュウォン兄さんに会ってないなぁ……会いたいなぁ……」    おむろに立ち上がって、両手を上げる。やってみようではないか! 「ジュウォン兄さん召還!」 「おーい、ソユンいるか?」    うおおっ!び、ビックリした!  でも……その声は! 「兄さん!!久しぶり!さっき会いたいなって思ってたの!」  召還成功!嬉しくなって抱きつく。やっぱり、ジュウォン兄さんが好き。 「久しぶりだな。ほらこれを持ってきた。親父がソユンに持っていってやれって」 「大きな西瓜!」 「近くの川で冷やして食べよう」 「うん!」  川まで歩いていると、子供カフェの常連、ヨヌとイナに会った。この二人はジュウォン兄さんとも顔見知りだ。この子達の両親は、出稼ぎに行っていてたまにしか帰ってこず、妹イナの面倒を兄のヨヌが良く見ていた。 「ちょうど良かった。ジュウォン兄さんが西瓜を持ってきてくれたの。川で冷やして食べようと思ってて、ヨヌ達も行く?」 「行く!」 「イナも行く!」 「うん、行こう!」    イナと手を繋いで川まで歩いた。  川に着くと兄さんが西瓜を水に浸けてくれ、ヨヌとイナは浅瀬で水遊びを始めた。 「兄さん、最近お仕事忙しい?」 「そうだな。王様が忙しく地方を回ったりされているから、俺もついていったりして忙しいかな。なんでも地方にも孤児を保護する施設をつくるんだってさ」 「そうなんだ……」  王様も子供のために頑張ってくださっている。なんか嬉しいな。 「お前の方はどうなんだ?」 「うん、忙しいけれど、毎日楽しいよ」 「そうか、よかったな」     ジュウォン兄さんがその辺の竹で水鉄砲を作ってくれた。出来上がった水鉄砲を使って、離れたところからヨヌとイナに水をかけた。二人の反応が可愛くて楽しい。 「ソユンは王様のこと、どう思っているんだ?お側にいるから分かるが、お前に好意は持っていると思うぞ」 「私が好きなのはジュウォン兄さんだよ」 「俺をダシにせず、よく考えるんだぞ」 「うん……、ちゃんと考えないと、王様を振り回してばかりじゃ申し訳ないよね……」  兄さんへの気持ちもきちんと整理しないと……。 「そういえば、カフェが完成してから王様を正式にご招待していなかったわ」 「それはいかんな」 「いつもフラりと寄ってくださるから、うっかり忘れていたわ。もし召還して来てくださったら今日おもてなしする!」 「召還?」 「秘密(こっ恥ずかしい)の儀式」 「なんだそれ?まぁ、こういうことはきちんとしておかないとな。さ、そろそろ西瓜を食べよう」 ◇◇◇  ジュウォン兄さんと兄妹とは西瓜を食べてパダの前で別れた。楽しかったし、西瓜も美味しかった!久しぶりにジュウォン兄さんに会えて良かった。  あとは…… 「よし、召還するか!」  店の中に入り、両手を上げてポーズを決める。 「王様、召還!!」   「……」    やばっ、恥ずかしい。来ないわ。来なかった、あー、恥ずかし……。    実はあれから一ヶ月近く王様に会ってない。どうしてるかな。会いたい……かも……?    兄さんが召還で来てくれたから、王様も……と思ったが、そんなにうまくはいかないか。 「お花の水やりでもしよ」  水やりで使う桶の中に兄さんが作った水鉄砲が入っていた。そういえば、ここに入れたわ。  なんとなく水鉄砲に水を含ませて、お花を的にする。お、命中した!  今度は蝉を的にする。お、外れた。もう一回。くっそー、また外れた。蝉が飛んだので、追いかけてまた的にする。    蝉、討ち取ったりー……あ……! 「……すみません」    蝉じゃなくて王様を討ち取ってしまったよ……。    お顔を丁寧にお拭きする。  この前の事を思い出してしまってちょっと意識してしまう。やりにくい。  まぁ、拭かれている王様本人は嬉しそうなんだけど……。 「全く、何をしてるのですか!」  ソン内官様が怒っている。討ちとっちゃったもんな……。謀反だよ。 「ところで、召還ってなんだ?」 「え?見てたのですか!」 「あぁ、こうやって両手を上げていたな」 「……っっ、再現するのやめて下さい。ダメージでかい……」  成功してたのね。いや、恥ずかしところを見られたからある意味失敗か? 「あれはなんだ?」  仕方ない教えてやるか。王様にだけ聞こえるように、耳元でこっそりささやいた。からかうように意地悪な言葉を選んで。 「会いたい人に会える魔法です」 「な、なななな」  王様が赤面して狼狽えている。ちょっと刺激が強かったか。 「あの、カフェが完成してから王様を正式にご招待してなかったなって……そう思って……お越しくださらないかなって……そういうことです」  本当に久しぶりに会えて嬉しいかもしれない。ジュウォン兄さんならためらわずに抱きつけるのに王様にはドキドキして気軽に抱きつけない。    ……はっ!どうした私!?夏の暑さでやられたか……。 「王様、お時間あったら今日はここで夕食を召し上がっていってください」 「どうした?今日はやけにしおらしいな」  自分でも良く分からない。会えたらもてなすって決めてはいたけれど、素直になれている。  昼間ジュウォン兄さんに会えて精神的に満たされているか、夏の暑さにやられているかだな。そういう事にしとこう。 「ではここで夕食を頂こう 「ありがとうございます!じゃ、買い物に行ってきます!」 「待て、私も行く」 ◇◇◇  はりきっていっぱい買ってしまった……。ソン内官様や護衛の武官様が荷物を持って下さって、それでも多くて自分で持っていたら、王様がその荷物を持って下さった。一応、ソン内官様に確認したら王様のご意志だから良いと言われた。買いすぎと怒られたが……。    ジュウォン兄さんの家の近くを通ると、ジュウォン兄さんにばったり会った。  「あ、兄さん!昼間はありがとう!」 「ソユン……。!……王様!」    ジュウォン兄さんは王様に気が付くとピシッと敬礼した。同時に王様が荷物を持っている姿を見て、青ざめた顔をした。 「ソユン、お前なんてことしてるんだ!王様に荷物を持たせるなんて!」 「良いのだ。私が持つと言った」 「さようですか!失礼しました」 「そういえば、この辺だったな。ソ武官の屋敷は」 「はい、こちらです」 「ソユン、召還成功したんだな。良かったな」     兄さんが小声で話す。 「うん。……そうだ!兄さんも一緒……」 「いや!やめておく。また今度な!」  言い終えないうちに即効で断られた。兄さんが私の横にいる王様を見て怯えている気がする。  つられて王様を見るが、いつも通りの優しげな顔をしている。 「では、失礼します」  ジュウォン兄さんは、すごいスピードで走り去って行った。 「?」
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