ミッション14 召喚の儀を成功させよ2

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ミッション14 召喚の儀を成功させよ2

 今からおもてなし開始!  お酒のおつまみにポテトチップを出した。ちょっとB級過ぎたかな?  でも王様もソン内官様も護衛の武官様も皆バリバリ食べている。王様以外はお酒を飲んでないけれど。 「子供たちに大人気なんですよ。ポテトチップ」    あとは冷麺に、焼きナスと豚肉の大根おろしのせ、オクラの和え物をお出しした。 「ソユンは料理が上手いな!全部気に入った」  王様が喜んでくれている。お世辞でもなんだか嬉しい。未来の旦那様もこういう反応してくれるのかな? 「先日、母上が来ただろう?何か言われなかったか?大丈夫だったか?」 「はい。特に何も。むしろ励ましのお言葉をいただきました。……王様は心配して来てくださったんですね。ありがとうございます。大妃様、素敵な方でした」  私のお父様より何倍もね……! 「そうか。それは良かった」  王様は目を細めて優しく笑って下さった。いつも私の話を聞いてくれて、こんな風に笑ってくださる。 「この前はすまなかったな。少しやり過ぎた」 「気にしないでください。何もなかった訳だし!」 「そうか」  王様はちょっと寂しそうな目をした。      ……ん、なんか王様お疲れかな?  そういえば、兄さんが王様はお仕事が忙しいって言っていたな……。 「王様、良かったらあちらのお部屋でお休みください。ちょっとお布団を敷いてきますので!」 「いや、ここがいい」  王様は私の太ももに頭を乗せた……。    え~……。なにこの状態。 「……お休みか?」  ソン内官様が王様に掛ける物を持って来た。 「王様は最近忙しくてな、ここに来る子供が増えただろう?王様はお前の負担を軽くしようと奮闘してるのだ」 「そうなんですね……」 「しばらくそのままにしてさしあげろ」 「はい」  ちょっ、ちょ、ちょっとヤバイんですけど。痺れる。足、痺れる。ヤバイ……。 「ソン内官様!」  小声で呼ぶ。あれ、気付かない。 「ソン内官様!」  全然気付かない。  あっ!寝てない?ソン内官様寝てない? 「武官様!」  今度は護衛の武官様に声をかける。    あっ!寝てない?武官様も寝てない?    ……職場放棄かよ。外に護衛の人いるけど、いいの?ダメでしょ!  痺れる。限界……。足を少しだけずらそう。    もぞもぞと足をずらしていると、王様が起きてしまった。 「あ、すみません。起こしてしまいました?」 「ん?こちらこそすまない。重かっただろう」  王様が体を起こす。 「あやつらも寝てしまったか。まぁ、しばらくそっとしといておいてやろう。遅くまで付き合わせたしな」  広いお店の中に二人きり(起きているのは)になった……。ど、どうしよう。  わっ!手が王様の手に当たってしまった。  その手はすかさず王様に握られる。 「ソユン……」 「はい」  お互いを見つめ合う。その間、周りの音が消えたかのように思えた。    胸がドキドキする。だんだん王様との距離が近くなって……。 「だめー!やっぱりダメ!」  握られていない方の手で王様の唇をふさぐ。  王様は唇に当てられた私の手を外してその手にキスをした。 「今日はいけると思ったんだがな……」 「まだはっきりしないからダメ!」 「そうか……」  少し残念そうにつぶやいて、ぎゅっと私を抱きしめた。  まだこのくらいがいい。   王様の温もりは心地よく暖かい(いや、ちょっと暑い)。  今日はいい日だったかな……?  アホな召還の儀に成功して、精神的に満たされた。  なんだか、しみじみする。悟りを開けそうな気分。  いや、暑さで頭がおかしいだけか。    そう思ったわたしは、抱かれたまま目をつむった──。 ◇◇◇  気が付くと朝になっていた。なぜかお布団の上に横たわっている。 「あれ?」  王様たちはいない……。  はっ……!  お布団をめくって、服を確かめる。着てる!血もついてない!未遂だ。  良かった……。
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