ミッション7 デート

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ミッション7 デート

 今日はパダの定休日で、以前約束した王様とお出かけの日。 「店の方はうまくいっているようだな」 「はい。お陰さまで」  カフェは、目新しくて美味しいと評判が良く、大繁盛している。その分、子供達に安く食事を提供できていた。  っていうか……、この状況何?王様と一緒の馬に乗っている……。最近、王様に慣れたせいか別に嫌ではないんだけどさ……。    いやいや、私、馬に乗れますよ?って家から馬を引っ張ってこようとしたら例の内官様に睨まれたのだ。いいから乗れよって言う目をしていた。ソン内官様、なんか私にキツくない? 「あの~?今日はどこへ」 「離宮へ行く」 「離宮!?わぁ、楽しみです」  離宮なんて入ったことない。どんなところなんだろう。 「ここだ」 「ここは……昔の王様がご自身のお父様のために建てた宮殿ですね」 「そうだ。ソユンに見せたいものがあってな」  王様に抱きかかえられて馬を降りる。いや、一人で降りれますけどね。  チラッとソン内官様を見ると勝手に降りるな、王様の手を借りろと言う目をしていたので仕方なく。  王様と手を繋いで離宮内を歩く……。王様、結構強引です。  チラッとソン内官様を見ると、手を振りほどくなよという目をしていた。息子ちゃんラブのオカンみたいだ。 「わぁ、すごい!」  大きな池に来た。池いっぱいに白やピンクの蓮の花が咲いている。  池の真ん中に建てられたあずまやに座って蓮を観賞する。お、鯉も泳いでいる。 「ちょうど今が見頃だ。気に入ったか?」 「はい!あとで思い出して絵を描きます」 「それならまた連れていってやろう」 「ありがとうございます」 「ところで、シア殿とはずいぶん仲が良いようだが、いつから仲良くしておるのだ?」 「この冬に廊下でぶつかった時からです。お互い、前世からの姉妹だと思い出しまして……」 「なるほどな。それであんなに仲がよいのだな」  え?信じたの?どうせ信じないと思って言ったのに。 「今の話、信じますか?」 「ああ、そなたは嘘をつけない性格だろうからな」  確かに、深く考えないでそのままを言ってしまう。王様だけあって、人を見る目はあるのね。 「シア殿は変わられたな。すっかり立派な女性になった」 「ほんとです。めっちゃ頼りになる心強い味方です」 「めっちゃ?」  なんだその変な言葉は?と王様は笑った。その顔は王様ではなく、年相応の青年に見える。 (そんな顔もできるのね) 「ソユンは私を前にしても普段と変わらぬ態度だな」 「……すみません!以前から知っているような気がして……」 「以前から知っている?」    や、やばい言ったらややこしくなるやつ言ってもた。 「なんとなく……、なんとなくそう思ったのです」 「そうか。そう思ってくれて嬉しい。みんな私には畏まってしまう。だから私も自分を表に出せないのだ。私の前でも自然体のソユンは本当の私を引き出してくれる。そのままでいてくれ」 「はい……」    王様も大変よね。若いのにどれだけの苦悩を抱えて生きているんだろう。ドラマとかだと次から次に問題起こるじゃん……想像もできないや。  「王様……王様もたまには息抜きして、楽しく生きましょう!」 「これ、カン·ソユン!軽々しい口をきくな!」     ソン内官様に怒られた……。 「……すみません」 「そう怒るな、ソン内官。ソユン、そなたが楽しませてくれるか」 「はい!……まずは、甘いものを頂きましょう!」  ソン内官様に預けていた荷物を開く。 「くず餅を作ってきましたよ。召し上がれ」 「暑い夏にさっぱり頂けるな」 「でしょう?カフェにはまだ出してないんですよ。内官様、いかがですか?」 「何個でもいけます」 「良かった。また食べに来てくださいね」  その後、離宮で昼食をとって、街まで行った。そのまま街をぶらぶらと歩く。 「ソユンは何色が好きなのか?」 「水色と桃色ですよ」 「何の花が好きなのだ?」 「酔芙蓉です。悔しいけれど、この頂いた靴、好みドンピシャなんです」 「なぜ、悔しいのだ」 「何となく」 「お、これもどんぴしゃか?」  王様は近くのお店に吊るしてあったノリゲ(上着などに吊るす装身具)を指した。  白い石が芙蓉の形に掘られていて、それを吊るす糸は水色でグラデーションになっている。石には桃色と黄色の小さな蝶の飾りがついていた。 「差し色に黄色を選ぶあたり、さすがですね。悔しいけれどドンピシャです」 「よしっ、買ってやろう」 「えぇっ、大丈夫ですよ」 「これを見て悔しい思いをするがよい」 「えーっ、なおさら要りませんよ!」 「冗談だ。こういうときは大人しく貰っておけ」 「……あ、ありがとうございます」     こうして王様とのデート?を楽しんだ後、パダで別れた。    楽しかった……な。また会いたい……かな? ◇◇◇ 「はぁ、なぜデートを楽しんだんだ……」 「楽しかったんでしょ?もう王様エンドでもいいんじゃない?」 「ん~……どうかなぁ……」  シアは料理の研究をするために定休日のパダに来ていた。もう帰るというので、片付けを手伝って一緒に帰ることにした。 「そういえば、シア、兄さんをどう思う」 「紳士!」 「それだけ?」 「それだけ」 「お!ソユン!シア殿!」  パダを出るとタイミングよくジュウォン兄さんが現れた。  連れだって三人で帰る。先にシアのお屋敷に着いたので、私の家まで兄さんと二人で帰った。 「ソユン、今日は王様と出掛けたそうだが、どうだった?」 「うん、離宮に連れて行ってもらったよ。楽しかったよ」 「そうか。良かったな」  ジュウォン兄さんが私の頭を撫でてくれた。 「じゃ、またな!」 「うん、バイバイ」  ……あれっ?    なんか王様と別れる時の方が名残惜しかったかも……。
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