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リレーに備え、ぼくとソラとリクはランド・セイルを取りに教室へ向かった。バッテリーも一〇〇パーセントに充電し直し、準備を整えていく。
実況や声援は教室まで届いたので、ぼくたちは白熱するグラウンドの状況を知ることができた。
「おいカケル、紅組と白組が同点になったみたいだぞ」
この後、少しの休憩を挟んだら、ランド・セイルのリレーがはじまる。現在、紅組と白組の点数は同じ。どうやらぼくたちの肩にかかる想いが、三学年分に増えてしまったらしい。
ソラが、ふんと鼻を鳴らす。
「いいじゃない。わたしたちの活躍がより注目されることになるんだから」
ぼくたちはランド・セイルを背負うと、教室の真ん中で輪になった。ソラがゆっくりと口を開く。
「――いよいよね」
「あれだけ練習したんだ。オレたちが負けるはずがない」
「その通り。ぼくが一位で戻ってくることを期待しておいてくれ」
ぼくの軽口に、二人の表情が少し和らぐ。
ソラが一度深呼吸をした後、ぼくとリクを見た。
「景気づけに、今日の目標を一言ずつお願い」
「――じゃあ言い出しっぺのソラ、次にオレ、最後にカケルの順番でいこう」
「りょーかい」
ソラが輪の中心に向かって静かに手を伸ばす。
「わたしは、お兄ちゃんと気に食わないお嬢様をアッと驚かせる」
「オレはこの街から転校する前に、最高の思い出を作る」
「ぼくは誰よりも速く、鳥のように空を飛ぶ」
ぼくとリクも手を伸ばす。三人の手のひらがピタリと重なった。
「さあ、決戦よ。わたしたちがこの街で一番速いことを証明しにいこう!」
ソラの掛け声と共に、ぼくたちは一斉に教室を飛び出した。
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