7話 誕生、ぼくだけのコマンド

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 リレーに備え、ぼくとソラとリクはランド・セイルを取りに教室へ向かった。バッテリーも一〇〇パーセントに充電し直し、準備を整えていく。  実況や声援は教室まで届いたので、ぼくたちは白熱するグラウンドの状況を知ることができた。 「おいカケル、紅組と白組が同点になったみたいだぞ」  この後、少しの休憩を挟んだら、ランド・セイルのリレーがはじまる。現在、紅組と白組の点数は同じ。どうやらぼくたちの肩にかかる想いが、三学年分に増えてしまったらしい。  ソラが、ふんと鼻を鳴らす。 「いいじゃない。わたしたちの活躍がより注目されることになるんだから」  ぼくたちはランド・セイルを背負うと、教室の真ん中で輪になった。ソラがゆっくりと口を開く。 「――いよいよね」 「あれだけ練習したんだ。オレたちが負けるはずがない」 「その通り。ぼくが一位で戻ってくることを期待しておいてくれ」  ぼくの軽口に、二人の表情が少し和らぐ。  ソラが一度深呼吸をした後、ぼくとリクを見た。 「景気づけに、今日の目標を一言ずつお願い」 「――じゃあ言い出しっぺのソラ、次にオレ、最後にカケルの順番でいこう」 「りょーかい」  ソラが輪の中心に向かって静かに手を伸ばす。 「わたしは、お兄ちゃんと気に食わないお嬢様をアッと驚かせる」 「オレはこの街から転校する前に、最高の思い出を作る」 「ぼくは誰よりも速く、鳥のように空を飛ぶ」  ぼくとリクも手を伸ばす。三人の手のひらがピタリと重なった。 「さあ、決戦よ。わたしたちがこの街で一番速いことを証明しにいこう!」  ソラの掛け声と共に、ぼくたちは一斉に教室を飛び出した。
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