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体育館に一歩足を踏み入れると、夏祭りの時のように出店が立ち並び、様々な格好の生徒やお客さんで賑わっていた。
カップルも夫婦も親子も大勢いたため、麻矢たちも紛れると目立ちはしなかった。
飴細工の店に行くまでにわたあめやチョコバナナ、くじ引きや射的もあり、一つひとつをゆっくりと見て回った。
「あ!オウゴンオニクワガタのぬいぐるみ!」
麻矢が立ち寄った射的の出店の景品を指差した。
「ん〜でもな〜、、、私はヘラクレスオオカブト派なんだよね〜」
持っていたリュックに付いているキーホルダーを見せながらニッコリと笑った。
「クワガタより、カブトムシ?」
「黄金もキレイだけど、ヘラクレスの黄色のラインも好きなの。でも、あのぬいぐるみもちょっと、欲しいかも」
麻矢が昆虫に詳しかったのが意外で、匠は新たな麻矢を知れて嬉しかった。
「じゃあ、頑張って取らないとね」
匠は店の生徒にお金を渡し、銃を受け取った。
ガチッと銃を構えた匠を通り過ぎる人たちが次々と見るため麻矢はなぜか匠の姿を周りに見せるのを、もったいない、と感じた。
(素敵だな、、て、私が思うのだから、、周りの人も思っちゃうよね、、、。
あ〜もお!
やだやだ、心が狭い!)
先ほどの、エディンバラが『狭量』と言った言葉を思い出して麻矢は胸の中からその言葉を追い出すように、サッサと手で払うようなしぐさをした。
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