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5年前。
33歳の厄祓いの集まりが悪いからと、中学の時の同級生佐久間さんに人数合わせのようにお願いされて出た同窓会。
私は彼を知らず、彼もまた私を知らず、お互いが場違いの席に居心地の悪さを感じていた。
「で、こちらが私の高校の同級生の高崎匠くん。そしてこちらが私の中学の同級生の宮本麻矢さん」
互いに頭をぺこっと下げながら心中『誰の?どこの?同級生??』と動揺していた。
いくら集まりが悪かったとしても、共通点が同じ歳というだけで何も接点のない同窓会に呼ばれたのか、と、気持ちはますます沈むばかりだったが、互いに顔には出さずにやり過ごすのが精一杯であった。
「じゃあ、わたし、まだ幹事の仕事があるから!またあとで!」
と簡単にその場を去っていく佐久間さんを見送りお互い苦笑いしながら、ぽつりぽつりと当たり障りのない話しをし始めたが長続きしない。
私は思わず、ふぅとため息をつくと
「、、、もしかして、人数合わせで呼ばれた感じですか?」
驚いて高崎さんを見ながら
「もしかして?」
その返答で察したのか
「オレもですよ。まいりましたね」
たったその一言とあどけない笑顔に胸が弾かれ、目が離せなくなった私。
一瞬でもう『出会ったんだ』と、分かってしまった。
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