貸して?その2✽それ詐欺ですって!

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貸して?その2✽それ詐欺ですって!

「雪ちゃん。2万円貸して?」 いつもの様に事務所の手伝いに来てみれば、事務所の扉を開けた瞬間。 待ってましたと言わんばかりに目を輝かせながら言ってきた。 (※雪ちゃん→雪叶) 前回のお金貸して?  あの件が9月上旬の話。 それから1ヶ月も経たずにまた(・・)である。 2万であれば前回より額は格段に少ない。 だが問題はそこではない! 肝心なのは理由の方である。 2万……一体なにに使うのか? 「2万?」 「そうそう2万! 手数料で2万払ったら300万貰えるから」 ……意味が分からない。 2万がどうやって300万に化けるのか全くもって意味不明である。 意味が分からず本さんを見ると 「それ詐欺ですよ。辞めたほうがいいです」 本さんはアラサーで私より2歳上の方、図書館勤務してそうな風貌のおとなしい寡黙な方なのだが。 その本さんが慌てた様に言い切るこの状況…… しかも詐欺? もう嫌な予感しかしない。 「海外の宝クジが当たってね? それが300万!」 うわぁ……ありがちな古典的詐欺。 今更そんなものに騙される人いるんだろうか? ――――ってここにいたわ! もうアホ過ぎて一瞬言葉が出なかった。
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