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「それにしても、ついてねぇな。大丈夫だったか。」
目の前の事態についていけず、呆けていた葵に青年が声をかける。
え?ちょっと待って。今、多摩のバラガキっていってなかった?
命の危機にさらされていたことなど頭から抜け落ち、青年から目が離せなくなる。
多摩のバラガキといったら、一人しか思い浮かばない。
まさか、この人は。
反応のないのは、警戒しているからだと思ったのだろう。
「おれは、土方歳三という。お前はどっかの姫さんか?」
自分の名を明かし、葵の素性を尋ねてくる。
やっぱり、土方歳三だ。ということは、私のご先祖様!?
血の繋がりとは、やはり強いのだろうか、それとも神の導きか。葵が幕末で関わりを持った一番はじめの人物は、まだ青年の土方歳三だった。
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