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確かにイケメン。モテるのも分かる。 白い肌に高い鼻。意志の強さを物語るようなはっきりした目には、女性かと思うような長いまつげが生えている。 きれいな人だな 場違いなことばかり頭に浮ぶ。 やはり反応を示さない葵は、土方の誤解を生む。 恐怖で声が出なくなったって訳ではなさそうだし。素性を明かせない理由でもあるのか? それにこの着物、結わずに緩やかに結んだ髪型。 厄介なことに首を突っ込んじまったかもな。 葵は髪が結えなかった。なので、前髪だけ上に上げ、後ろはいつも通り、下の方で軽く結んでいた。 しかし、これが更なる誤解を生む。女は動きやすいように髪を結うもの。そんな認識が一般的な時代だ。髪を肩や背中の辺りで緩やかに結ぶ形は「おすべらかし」と言い、宮中の女官や公家の髪型とされていたのだ。 女官にしては、若すぎる。となると、公家の出か。着物が上手く着れていない所を見ると、自分で着れないのか。普段は着せてもらっているのに、何らかの事情で自分で着て、逃げてきたのか。 困っている女をほっとけるほど、自分は薄情ではない。本当に、厄介なことになったものだ。 「何か事情がありそうだな。一先ず俺についてこい。話はそれからだ。」 土方の言葉に、葵は漸く意識を戻す。 あれ?いつの間にか、一緒に行くことになってる。でも、これで沖田さんと会えるかも! これは好機だと感じた葵は、土方の言葉に頷き、慣れない足取りで必死に後を追った。
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