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「ここが俺の家だ。一先ず、あがってくれ。」 現在では資料館が建っている、土方歳三の生家。 模型でしか見たことがなかった当時の家だ。葵は、物珍しそうに中に入る。 「おじゃまします。」  「やっと、しゃべったな。」 やはり、男前。というか、そんな耳元で話さないで。 近づいてきた土方の顔に、頬が熱くなるのを感じる。 自分のご先祖様にドキドキして、どうするの。 土方の胸を押し返し、カッと睨み付けた。 「強がりの女は嫌いじゃないぜ。」 土方は面白そうに、口許を緩める。 「それじゃあ、お前が何者なのか。どうして、絡まれていたのか、教えてもらおうか。」 急に突きつけられた問いかけに、頭が一瞬で真っ白になる。 どうしよう。何と答えよう。
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