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宗次郎
この時代に来て1年たった。
その間に、江戸の常識は大体覚えた。苦手だった家事も、大方こなせるようになった。
葵が来た当初、何も出来ない彼女をいぶかしげに見ていた土方家の人々も、一生懸命に家事を覚えようとする姿に心打たれたようで、すぐに末の妹として受け入れられた。
特に佐藤家に嫁に出ていた歳三の姉のぶは、男ばかりの兄弟に新たに加わった妹を大変可愛がった。
葵も、一人っ子で姉が欲しいと思っていたからだろう。のぶに大変よく懐いた。
それから、驚くべきことに、土方と葵は年が近かった。
歳三18歳、葵17歳。わずか1つ違いである。
ちなみに、それを知った時。土方はいつもの倍も眉間にシワを寄せ、「ありえねぇ。12くらいだろう。」と呟いた。それを聞いていたのぶに大目玉をくらっていたのも記憶に新しい。
何はともあれ、江戸時代に順応してきた葵だが、今だに沖田に会えていない。少年時代の沖田については、あまりよく知らないが、確か近藤や土方と同じ道場だったはず。試衛館に出入りする土方にそれとなく聞いてみたが、沖田のような少年は入門していないらしい。本当は自分で行って確かめたいが、女に刀は不要と考える土方がそれを許さなかったのだ。
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