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「そういえば試衛館に、生意気なガキが入門した。」
それは突然の出来事だった。
いつもと同じように、家事をこなし、一息入れようとしていた葵に、土方が突如告げた。
「それって、もしかして、沖田っていう名前?」
「確か、そんなだったような。てか、何でお前が知ってるんだ?」
体が熱くなるのを感じる。沖田さんだ。
漸く、漸く会える。
「会わせて。」
食いぎみで言う葵に、土方は目を見張る。
「無理だ。無理。あいつは俺が気に食わねぇみたいだ。というか、周りを皆、拒絶してやがる。そんな状態のやつに会わせられねぇ。」
会っても、素っ気なくされて、傷つくのがおちだ。
いつの間にか葵を大切に思っていたらしい。
妹が傷つくと分かっていて、会わせることなんて出来ない。
葵はなおも食い下がる。
「お願い、少しでいいの。」
必死に頼むが、頑固で意思の固い土方。とうとう首を縦に振らなかった。
しかし、葵も土方に負けず劣らず、意思を曲げない。
絶対、沖田さんに会ってやる。
土方の後をつけ、試衛館に行くことを心に決めた。
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