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すれ違い
葵は宗次郎と会う傍ら、沖田探しを諦めたわけではなかった。
何度も土方を追い、試衛館にいこうとするが、いつも途中で巻かれてしまう。
宗次郎は、腕をメキメキあげているらしい。
馬鹿にしてきた兄弟子たちにも勝ち、尊敬する先生もできた。
最近は、その人の剣になるんだと息巻いているようである。
「僕は剣になるんだ。先生のための鋭い剣に。」
「別に剣にならなくてもいいじゃない。」
剣にしかなれない。
そう言った沖田の言葉を思い出し、つい否定の言葉を言ってしまった。
「え?」
「剣にならなくても、そうちゃんがそうちゃんでいればいいじゃない。何故、あえて危険な道にいこうとするの?」
「…葵ちゃんは分かってくれると思ったのに。」
宗次郎はそう言って走り出してしまった。
僕は唯、尊敬する近藤先生の役に立ちたいんだ。
剣しか出来ることがないから。
それに剣でなら、葵ちゃんを守ることも出来る。
葵ちゃんなら分かってくれるって思ってたのに。
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