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剣があれば、また違ったのだろう。
しかし、この時いくつかの不運が重なっていた。
先ず土方が剣を持っていなかったこと。
薬の行商に行くため、自慢の愛刀は家に置いてきていた。
おまけに、足場が悪かった。
いつもは味方になってくれる砂道も、今日ばかりは憎たらしい。
また、人を庇いながらの戦闘に、土方は慣れていなかった。
喧嘩は得意だが、制限された状態で戦う事など、今まで殆どなかったのだ。
「来ないならこっちから行くぜ。」
辻切りが振り回した刀を、間一髪避ける。
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