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夢の中で彼女は、一人の青年を見ている。
夢は、青年が京に来たところから始まった。
仲間のため、尊敬する人のため。
青年は必死に剣を磨く。
天才。周りは彼をそう評価するが、人知れず努力していることを葵は知っている。
だから、自分も人知れず、努力してきた。
誰にも負けないように。
いつか、青年のように、大切な人を守れるように。
そして、今日、衝撃的な夢を見た。
その青年が死んだのだ。
動かねば、闇にへだつや、花と水。
動かない体、剣さえ持ち上げられず、仲間の状況さえ分からないまま、自分の尊敬する人の身を案じながら、一人でひっそりと息を引き取った。
「…僕は剣にしかなれないのに。これじゃあ、…唯の役立たずだ。もっと、先生の役に立ちたかったな。」
その尊敬している人物が、既にいないことを知りもせず。
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