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何時も通っていた商店街、兄上とたまに出掛けた小物屋や呉服屋、宗次郎と行った甘味屋など、思い出の場所を歩いてまわる。
「そうちゃん、いないな。いても、困るんだけどね…」
宗次郎と会っていた木にも行ってみた。
いつもは止められ控えていた木の上にも、久しぶりに登ってみる。
今日でしばらく、この景色も見納めか。
思えばこの2年間、葵の隣には誰かしらがいてくれた。いつも助けてくれた兄上、素直じゃないけど心優しい宗次郎、妹のように可愛がってくれたのぶさんや、土方家の人々。
寂しさなんて感じる暇もないくらい、楽しかったな。
今日1日、1人で過ごしてみて、改めて皆の大切さが分かった。
私は皆を守りたい。兄上も、宗次郎も、まだ見ぬ沖田さんや、新選組の人々も。
日も暮れてきたし、そろそろ神社に行かなくては。
葵は最後に、土方家の近くまで行ってみることにした。
欲を言えば、遠目でも皆の姿を目に焼き付けておきたい。
この道を通るのも、今日で最後か。
一歩一歩踏みしめるように、2年間歩いてきた道を歩いていった。
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