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生涯大切な人
「えへ、あっはは~まぁそういうことになりますかな、決して平坦なもんではありませんでした。ワガママで気まぐれで散々喧嘩三昧でしたが、生涯わしの作品の、いやわしのたった一人のファンだったんですわ。下手くそだったわしの作品を一番楽しみに読んでくれた。不器用だったわしと同じ時間を過ごしてくれた。たった一人の大切な一人ですわ」
「今でも執筆していらっしゃるのですか?」
「はあ、恥ずかしながら。でも良子はもう字が読まれんようなってしまって。あんなに本が好きだったこいつがまるで別人みたいになってしもうた。正直寂しいです。ほいでもわしのたった一人の大切なファンですから見捨てはせんのですよ。たとえどちらかが先に逝くようなことがあってももう手は離しはせんのです」
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