第一話 TWIN (零華視点)

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第一話 TWIN (零華視点)

私の名前は、戸村 零華(とむら れいか)特に何もいい所もない普通…かはわからないけれど 普通の私だ…。そんな私には双子の姉がいる。それが… 今部屋の中にいる愚姉。萌花(もえか)だ。顔こそ似ているが、私よりも美人で、頭も良くて、友達も多くて…いい姉だ…だが家では… 萌花「ちょっと零華ー!ライト持ってきて!」 萌花がそう私に命令する。 私は部屋の端にあるライトを持ち上げて萌花に渡す。 萌花「今日の分アップしないと!」 萌花は動画アプリにハマっている。持ち前の美少女顔を利用して… そんな私は萌花のアシスタント…いや、奴隷とでもいうべきか。 零華「萌花…確か今日…レポートの宿題が…」 私はそれでも萌花のことが心配で、明日提出のレポートについて聞いてみた 萌花「んー…私あとでたけるとデートだから零華やっといて。」 零華「えっ…?確かその人…危ないって有名じゃ…」 萌花「知らないし!てかブスが私に逆らわないでくれる!?」 萌花はそう怒鳴り散らかして、部屋を出て行く。 零華「ご…ごめん」 私は今まで萌花に反論できたことはない… 小さい頃私が萌花の悪行を伝えようとしたが、みんな萌花に騙されている。萌花がするわけがない。萌花ちゃんはいい子だよ…みんなしてそう言った。 零華「レポート…やらないとな」 私は萌花の学生鞄を開き レポートの紙をファイルから取り出した。 今回のレポートの内容は、命について。今までのは生物とかそういう系だったから別によかったけど今回のは題が重すぎる。こういうのは本人がやらないとダメだ。 零華「やっぱり…萌花にやら…」 零華がスマホで連絡しようとすると部屋に突然母が入ってきた 母「零華。萌花ちゃん知らない?」 零華「萌花…?」 母「もうすぐ夜ご飯なのに…」 ここで私は萌花なら男と遊びに行っている。と言いたかった。だが、そんなこと言ったら母は発狂するだろう。母はそういう不純な人間が嫌いなのだ。 零華「確か、いい参考書探してくるって」 私は嘘をついた。この家には、敵が多すぎるから。いや…家だけじゃない…萌花を知る全ての人間が敵だ。 ー翌日 早乙女高校ー 萌花「おっはよー!」 生徒たち「おはよう 萌花ちゃん!」 萌花が喋るだけでみんなが萌花をみる。萌花の声だけで 世界救えるかもと私は一瞬思った。 零華「…………」 大翔「おはよ!萌花!」 萌花「あっ、大翔くーん!おはよ!」 大翔「今日も相変わらず人気だな!」 萌花「そんなことないよー!」 どうせ内心では“あったりまえでしょ”って思っているだろう 萌花の考えていることは私はすぐに読むことができる それほど私は萌花の裏の顔を知っている。 零華「…腹黒いな」 私がそうぼそっというと後ろから肩を叩かれる感触がした。後ろを振り返ってみるとそこに大翔がいた。 大翔「零ちゃん。おはよ」 零華「大翔…おはよう」 大翔は私達の小学校からの友人であり、同時に萌花の初恋の人でもある。 そんな萌花がどうしてたけるって男の人と交際してるかって?あのたけるって人は噂によると大國財閥の息子らしくて…つまり金目当て。あんまり言っちゃいけないのかもしれないけれど萌花はああ見えてかなりのビッチなの。もう何回男の息子の大きさの愚痴を聞いたのか覚えてないほどに。で、稼いだお金は 勿論大翔へのプレゼント。大翔はアニメが大好きで、萌花はどんどん大翔に貢いでる。肝心の大翔は、萌花を金づるではなく、1人の心やさしい人だと思い込んでるんだろう。 大翔「最近萌花と一緒にいないけど…何かあったの?」 零華「一緒にいないわけじゃないよ…家では一緒だから」 大翔「それならよかった」 大翔も同じく私たちの関係を知らない。 大翔は私たち双子は仲がいいと信じてる。そんなわけないのにね…
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